2015年1月15日木曜日

「ウロコ理容室」








赤、白、青の動かないサインポールが目印の理容室。


動脈と静脈と包帯を表しているんだよ。

と、理容師なのにてっぺんが寂しい店主に

教えてもらった。






ここの理容室に通うのには理由があるんだ。

この、てっぺんが寂しい店主の娘さんが

凄く色白で華奢で

たまらなく可愛くて

僕の好みなんだ!



顔に薄い布を掛けられて

彼女の白魚のような手で

シャンプーしてもらうのが

僕の至福の時なんだ!


「どこか痒いところございませんか?」


僕は胸の辺りをおさえながら

「あなたのせいで僕のハートがジュクジュクします。」

なんて言える訳もなく


只、「大丈夫です、、、。」と。






顔の薄い布が僕の鼻息で

少しずつずれて

顔の薄い布が僕の鼻息で

少しずつずれて


僕の鼻息で、、、



隠れていた僕の目が露になって、、、


僕の目が

僕の目が


僕の目が、、、


ああっ、、、恥ずかしい、、、


鼻息が荒いなんて、、、



薄目を開けて彼女を追う

ばれないように、、、


はぁはぁ、、、


鼻息が荒くなる、、、


一瞬彼女と視線が合う!


しゅ〜しゅ〜、、、


慌てて鼻息でずれた薄い布を

吸い上げようとする、、、


しゅ〜しゅ〜、、、


上がらない、、、



彼女の手が僕の顔に伸びる!


慌ててしっかりと目を閉じる!



「大丈夫ですか?白目剥いてましたよ!」



と、白魚の様な華奢な手で

そっと薄い布を掛け直してくれた、、、。






洗髪が終わり

髪をタオルで拭いてもらう

そのタオルで耳の穴を

拭いてくれる

クリクリっと

慣れた手つきで、、、

クリクリっと

慣れた手つきで、、、



んっ、、、?


しばらく沈黙が、、、

どうした?

どうした?



あっ!


「しばらく耳掃除してないやっ、、、!」


ああっ、、、

目が開けられない、、、

ああっ、、、

恥ずかしい、、、




「僕の大動脈のジュクジュクが止まらない、、、」









2013年11月8日金曜日

「美味しいメロンの選び方」






「美味しいメロンの選び方」


形がいい

とにかく重い

色、艶がいい

叩いた時の音色が素敵






お見舞いに行った

また、痩せたみたい

ご飯も少し口に付けただけ

帰り際に何が食べたいか尋ねた


「メロンなら食べれそう、、、。」






数日後お見舞いに行く前に

スーパーに寄った。

果物のコーナーでメロンを探した

網目模様のやつは

¥5000もする、、、、

とてもじゃないけど手が出ない。


下の棚の薄緑色の丸い瓜みたいなやつに

ホームランメロン¥980

と札が貼ってあった。


しょうがないのでそれを買って

お見舞いに行った。


「ごめん。高くてちゃんとしたメロン買えんかった、、、。」


一口サイズに切り分けて

食べさせた


「美味しいよ。凄く美味しいよ。」


そう言って二切れも食べてくれた、、、。



片付けながら一切れ食べてみた

水っぽくて美味しくなかった、、、。


帰り際

「また、メロン買って来て。」

と言って1000円札を握らせてきた。






数日後お見舞いに行く前に

スーパーに寄った。

この間のホームランメロン¥980の棚の前で

一つずつ手に取り


「美味しいメロンの選び方」


形がいい

とにかく重い

色、艶がいい

叩いた時の音色が素敵


を参考に必死で選んだ。





一口サイズに切り分けて

食べさせた


「美味しいよ。凄く美味しいよ。」


そう言って二切れも食べてくれた、、、。






渡された1000円札が5枚貯まったので

網目のメロンを買って

お見舞いに行った。


「前のメロンの方が美味しかった、、、。」


そう言って三切れも食べた、、、。



片付けをしながら一切れ食べてみた

凄く甘かった。



そして少しだけ涙が出た、、、。






2013年5月27日月曜日

第2ボタン



世界中のULOCOモンスターの皆さん

A HAPPY NEW YEAR





早いもので今年も半分が過ぎようとしています。


新しい出逢いもあれば

別れもある、、、。


先日、東京に住む親友が

久しぶりに里帰りして来ました。

彼が二十歳過ぎまで過ごした家に

新しい家主が決まったということで

最後に一目見ておこうと

最愛の奥さんにも

自分の大切な想い出を

見せておきたいとのことで


「今、羽田やけど20時30分に着くけん。」


と、

「お、おう、今からや?」





彼の実家を見て

彼の通学路をウロウロして

別に何の想い出もない

こ洒落たラーメン屋に行って

我が母校に行った。


最近は世の中的には部外者に厳しいので

さすがに校内には入れないと思ったのだが

私のインテリジェンス溢れる

育ちの良さのおかげで

すんなりと入れてもらえた。



自分達の過ごした教室

ベランダ

渡り廊下

音楽室

科学室

トイレ

部室

下駄箱

階段の突き当たり

体育館、、、。

まるで、タイムスリップしたようだった。





校長先生の卒業式の最後の挨拶が終わった。

下級生、親族、先生達に見送られながら

手拍子の中、体育館から退場していく、、、。


涙を流す女子生徒達

最後迄ふざけている男子達、、、、。




卒業式は決して悲しいことだけでは無い。

もう逢えないということを

勇気にかえて

「3年間好きでした。第2ボタンを下さい。」

の甘酸っぱい儀式が始まる。




早速、クラス1のモテ男は

花束を抱えて

制服のボタンを全部取られて

校門のところで写真撮影会をしている。



仲のいい連中達が

「早く、帰ろうぜ!」

と、誘いに来る、、、。

そいつらの胸元にはボタンが無い!!



「お、おう、、。ちょっとトイレ行ってくる、、、。」






慌ててトイレに駆け込み

誰も居ないのを確かめ

第2ボタンを引きちぎった、、、。


何事も無かったかのように

仲間のもとへ走って行く、、、。



「おっ!誰に取られたとや?」

と、余計なことを聞く奴等、、、。



「えっ、あれたい、あれ、、、。」

しどろもどろでアワアワしていると



下級生の女子が2人で

俺のほうに小走りで近づいてきた

そのうちの1人の女子が

真っ赤な顔をして


「第2ボタン下さい、、、。」


俺はとっさにカバンの紐で

第2ボタンの辺りを隠し

ズボンのポケットから

さっきの第2ボタンを握り締め

「おっおう!!」

と、威勢よく赤ら顔の

カワイイ女子に手渡した、、、。



「ひゅーひゅー」


と、仲間達にひやかされてると

「ん?お前、ボタン1つしか減ってないやん、、、?」

と、余計なことを、、、、。






卒業式が終わりしばらくして

学校から卒業写真が送られてきた。

ついこの間のことなのに

なつかしいな~と見ていると


ぜんぜん違うクラスの集合写真に


何故か、親父が写っていた、、、。



これもイイ想い出、、、?





ULOCOWORKS